ラフロードで片輪が浮いてタイヤのグリップが失われると、ディファレンシャル(デフ)の働きにより、その浮いた車輪が空転し駆動力が逃げてしまう。
そこで、このデフの働きを殺し、左右輪の差動をロックしてしまうのが、デフロック、つまり「ARBエアロッカー」の機能だ。
デフロックすると左右輪の差動が解消されるので、浮いた車輪から逃げてしまっていた駆動力がもう片方の接地している車輪にもしっかり伝えられる。
そのため、スタック状態を回避し、クルマを前、あるいは後へ進めることができるようになるのだ。
いわゆる“デフロック”や、それに似た機能を持つ“LSD”は、自動車メーカーの純正で用意される場合もある。
しかし、世界最高峰のクロスカントリー4×4と呼ばれるジムニーには、その設定がない。
そのためアフターマーケットで選べるデフロックシステム「ARBエアロッカー」は、実はジムニーの装着率が高いのだ。
ただ、もちろんオーストラリアはじめ、海外には軽自動車というカテゴリーは存在しないので、つまりジムニー用エアロッカーは、日本向け特別仕様、ということになる。
リヤ・ディファレンシャル用は言うまでもなく、フロント・ディファレンシャル用もラインナップしているので、“前後デフロック”という、ランクル70やメルセデスGクラスのような、究極のクロスカントリー・パフォーマンスの発揮も約束してくれる。
ジムニー用の「ARBエアロッカー」は、最近、フルモデルチェンジしたばかり。
従来のデフケース3分割式を2分割式に変更し、特許構造のクラッチ機能を採り入れた。
その結果、全体の強度を少なくとも40%アップすることに成功。製造コストは高価になるが、エアロッカー本体内のメインシールをUリングからBONDEDシールに変更したことも、耐久性の著しい向上につながっている。
さらに国際特許構造のTIMEDクラッチギアの採用により、デフロックまでの時間を大幅に短縮している。また構造そのものの見直しは、メンテナンス性の大幅改良をもたらすことにもなった。
なお「ARBエアロッカー」を稼働させるには、「ARBエア・コンプレッサー」を同時に装備する必要がある。